2025年– date –
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誤解を恐れていた
私は「誤解」を恐れていた。 正確に言うと、誤解されることを極端に恐れていた。 誰かと会話をした後は、いつも自分の中で反省会が始まる。 こちらが悪意なく発した言葉を、相手が嫌な風に解釈したのではないかと不安になる。 ◇ いい例えが思いつかない。 ... -
犬いる
トコトコトコ。 犬が歩いている。 ここは私の自宅なのに、犬がいる。犬が歩いている。 犬を飼い始めて3年以上がたつのに、不意に新鮮な気持ちになることが今でもある。 自分の家に犬がいて、犬なりに自分の意思を持って生活している。 グルグルグルグル。... -
古びたマンション
民度。あまり積極的に使いたい言葉ではない。 しかし、私の今住んでいるマンションは、住民の民度が高いとは必ずしも言えない。 築30年超のオンボロ物件とあって、正直なところ、経済的に恵まれた人はあまりいない。 はっきり言えば、その日暮らしの貧乏人... -
丁寧に死に向かう
お母さんがいなくなって、2カ月以上がたった。 悲しいけど、平常心でいられる時間も増えてはきた。 でも、別に毎日が楽しいかと聞かれれば、何も楽しくない。 ◇ 自分の残りの寿命はどれくらいかと考えてみる。 もし仮にお母さんと同じ年齢で死ぬとすると、... -
この地球のどこかで
私の通っていた中学校では、年に1度、合唱コンクールと呼ばれる行事があった。 1年から3年までの全生徒が参加し、クラス単位で合唱の練習を重ね、地元の文化会館の大ホールで披露する。 ピアノと指揮者もクラスから出し、本番までに何百回も合わせるのだ。... -
飲みたくもない酒
細いグラスに注いだレモンサワーをチュピチュピと飲み進める。 その姿はスポロンを飲む少女のようである。それでいてちっとも愛らしくないのだから絶望だ。 グビグビ飲むほどもう酒を欲してはいないのだが、風呂に入り眠りにつくのももったいない。 だから... -
整髪料がめんどい
初めて整髪料を買ったのは、おそらく中1の時だ。 年でいうと2004年。 UNOかGATSBYのヘアワックスを、マツキヨあたりで買ったはずだ。 当時はドラマ「ごくせん」などの影響もあり、不良ファッションが流行し、みんな髪を逆立てていた。 分かりやすく言えば... -
疲れ果てた
心身ともに疲れた。 疲れないわけがない。 わずか9カ月足らずの間に、両親ともに他界したのだから。 それも2人とも突然死。何の心の準備もなかった。 酒におぼれた暮らしをしていた父親はともかく、お母さんがもういないなんて信じられない。 ◇ お母さんが... -
「消えたリプライを探しています」
私は、見たはずの文章にアクセスできなくなると、頭をかきむしりたくなる。 「ウオオオオ。あの文章をもう一度、完全な形で読みたい」と。 それは小説であれ、個人のブログであれ、Twitterの投稿であれ、同じである。 見たはずのツイートが削除されようも... -
居心地が悪い、どこもかしこも
一歩外に出ると、自分がここにいていいのか、いつも確証が持てない。 たとえば知人5人でいるとき、「自分以外の4人で話したいのではないか」という卑屈な考えが頭の中を埋め尽くし、なんとなくその場を離れてしまう。 仮に私が立ち去った後に、私の悪口で...