憧れても手が届かなかった「ミュウ」の話

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小1のある日、家に帰ると、母親が僕に「自分の机見てきてごらん」と言いました。

2階に上がり自室の机を見ると、新品のゲームボーイとポケモン赤のソフトがありました。忘れもしません。ゲームボーイのボディは黄色でした。

特にねだったわけでもなく、突然のプレゼント。

幼稚園の頃は何度ねだっても「たまごっち」を買ってくれませんでした。そんなこともあって、母親としては、小学生になったらゲームを買ってあげようという思いがあったのでしょう。

近所の友だちと夢中でやりました。隣に住んでたタケとは、毎日のように対戦したり、交換したりね。

当時のポケモンは全部で151匹いました。僕は結局145匹くらいは集めたんです。コンプリートはできなかったけど、すごく頑張った。最後まで捕まえられなかったポケモンは意外にもケンタロスとかガルーラとかだったな。

別に貴重なイメージのないポケモンだけど、当時は「サファリゾーン」っていう場所でしか出現しなくて、何をどうやっても捕まえられなかった。サファリゾーンはちょっと捕まえ方が特殊なのね。当時はスマホどころか、インターネット自体も縁遠いものだったから、攻略法も全然わからなかった。

あとは、なんといっても特別なのはミュウです。すべての技を覚えることができる幻のポケモンで、当時イベントでしか配布されなかったらしいです。イベント以外には、正規の入手方法はないんです。だから変な噂ばかり広がったの。「ポケモンセンターでセレクトボタンを9回押して、〇〇すると、いきなりミュウが現れる」みたいな、真偽不明の裏ワザの噂。一応おそるおそる試したけど、出てこなかった。

そんなこともあって、当時の子供たちにとっては、ミュウっていうのは死ぬほど憧れたけど、手に入らなかったポケモンなんです。まさに幻。本当に罪なことをしたもんです、当時のポケモン。いろんなところでミュウのイラストは見るのに、どうやっても手に入らないんだから。夢に見るほど憧れたんだよ、ミュウ。

しかし、そんなミュウがあっさり手に入ってしまった。

今ならだれでも手に入る。合言葉を入力するだけで1匹もらえちゃう。うそーん。あんなに憧れたのに?

気前良すぎるんじゃねえのかよ、ポケモン!いっそのこと、ずっと手に入らない幻であってほしかったような気さえしてきます。わがままなもんです。

喉まで出かかって飲み込む「昔はミュウなんてどうやっても手に入らなかったんだぞ」って言葉。あんなに憧れた俺の気持ち、今の子供らに理解できるかな。

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この記事を書いた人

八王子でトイプードルと暮らしています。日常の思い出をつづります。

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