オオハクチョウが飛来した

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先日、群馬県館林市と邑楽町にまたがる「多々良沼」を歩いていた時のことだった。

沼のほとりに、白い数羽の鳥が見えた。バッサバッサと音を立てながら羽を広げ、クワクワと声をあげていたのはハクチョウであった。

調べるに、オオハクチョウである。日本に飛来するハクチョウ2種のうちの1種で、シベリアなどの寒冷地帯からやって来て冬を越す。

ちなみに過去、環境省がオオハクチョウに送信機を付けたところ、北海道や宮城県を発ったハクチョウたちはいずれもロシア東部で渡りを終えたらしい。おそらくロシア東部で繁殖した個体が日本で越冬し、またロシア東部へと戻っていくのだろう。

それにしても改めて間近で見ると、実にでっぷりとして大柄だ。オスの個体だと11kgほどあるらしい。無論、越冬のために日本へと飛来する鳥では最重量級である。カラスの体重は500グラムだから、ざっと重さは20倍だ。

この巨体が宙に浮き、数百キロあるいは1000キロを超えようかという距離を飛ぶのだから驚く。

よく観察するとオオハクチョウという生き物は、かなり大きな水かきがついていることに気づく。身近な水鳥についている水かきとは違う、何やらお高そうな本格水かきである。

この水かきを使い、水面を駆け付けることによって生まれた助走で空へと羽ばたくらしい。そして2メートルはあろうかという広げた翼で揚力を得て、大空へと舞い上がるわけである。

実に神々しいこの生き物、なんと夫婦の絆も強いと聞く。オス・メスのどちらかが死ぬまで、つがいは変わることはないのだそうだ。不倫報道ばかりの人間社会をクワーと笑い飛ばし、オオハクチョウは空を行くのだ。

このハクチョウという生き物は、世界各地で幸福や愛の象徴となっている。納得しかけたが、人間同士の愛などハクチョウの足元にも及ばない。

一つ疑問が浮かぶ。なぜ巨大な水かきや翼を使い、長距離移動をしてまで日本へとやってくるのか。

ロシア東部の「サハ共和国」の気温を調べた。Google天気によると、このブログを書いている12月28日時点で、同地の気温はマイナス43度である。答えはこれであろう。

水は条件次第で0度でも凍らないことがあるが、マイナス43度であれば湖や沼も確実に凍る。ハクチョウは生活の場、あるいはエサを失うため、必要に迫られて海を超えての大移動をしてくるわけである。

そして日本の湿地帯へとたどり着いたハクチョウたちは、水草をついばみ、体力の回復を図るのだ。草食ではなく、水生昆虫や甲殻類なども食べる雑食らしい。

春が近づくとハクチョウはまた寒冷の故郷へと飛び立ち始め、本州では2月上旬には見られる数が減ってくると聞く。

今からおよそ1カ月、オオハクチョウをじっくりと堪能するとしよう。

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この記事を書いた人

トイプードルと暮らしています。日常の思い出をつづります。

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