最近、私は街の公園に出没している。
芝生の広場があるだけの小さな公園には、犬連れの人たちが集い、私も毎日その輪に解けこんでいる。
とっても居心地がいい。
毎日顔を合わせるのに、名前も職業も住所も知らない人たち。
親しい他人というのはとっても心地よい関係性だ。
◇
思えば、これまでの人生、所属先を求めるような生き方をしてきた。
平たくいえば、わかりやすい「つながり」を求めて生きてきた。
「私は鈴木と申します」といったような自己開示を伴うつながり。
今となると、実に息苦しい。
人間関係は「その場限り」であればこそ楽しいのだ。
会いたくなったら「その場」に行けばよいのである。
◇
私は今日も何者でもなく、公園にいた。
鈴木でも田中でも山田でもない。
「アハハハハハ」
愛想よく笑い、時に冗談を言う。
それでも私は名乗らず、相手の名前を知ろうともしない。
もし私が今日死ねば、誰も私の死を知り得ない。
◇
友達でも恋人でも家族でもない。そのことの豊かさを思う今日この頃。
すれ違う人に「こんにちは」と言う時、他人だからこそありがたいと感じる。
ずっとずっと他人でいましょう。
名前も知らず、期待も寄せず、ここで会う時だけ笑い合う。
他人ってとっても美しい。
コメント