学生時代から30歳ぐらいまで、旅行が趣味だった。
22歳の時には「青春18きっぷ」で、埼玉県から広島県まで一日で移動したこともあった。
車窓から眺める風景も、その土地の方言も、非日常そのもので刺激的だった。
それでいて、文庫本を広げて活字の世界に没頭するような時間にすることもできた。
ローカル線での移動は、楽しみ方も色々だ。
到着した先で見た穏やかな瀬戸内海の風景は、今も色あせない。
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しかし、33歳となり、どうにもフットワークが重い。今では片道1時間ちょいの東京まで出向くのも苦行である。
もちろん「久しぶりに大阪観光に行きたいな」などと思い、旅行サイトでホテルや航空券を探すことはある。しかし、いざ予約しようと思うと「めんどくさいな」という感情が勝り、結局行くのをやめてしまう。
鈍行で移動する鉄道旅も、空港で諸々の手続きを済ませて飛行機に乗り込む空の旅も、今の私には実に煩わしい。人は変わるものだな、と思う。
昔から中高年の人は「若いうちに旅行に行っておくといい」と言っていた。時間がなくなることにくわえ、遠出する活力も次第に衰えていくのだと実感する。
車で30分程度の場所に出向くくらいが限界である。
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高校時代の友人が沖縄・西表島にいる。サトウキビを刈る仕事をしているらしい。
その友人には、30歳の時に会いに行った。わずか3年前なのだが、この3年で私の体力・気力は著しく減退してしまったようだ。
今の私にとって、西表島ははるか遠い異国のようである。
しかし、新年を迎えた折にLINEで久しぶりにやり取りをしたら、会いたくなってきた。
体力を振り絞り、西表島への再訪を計画しようか。
きっと、カヤックを漕ぐ体力はもうないだろうけど。
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