今も年に一度だけ「クラスのマドンナ」と連絡を取っている

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私の中学時代の同級生に、マドンナと呼ぶべき美人がいた。実名を出すのは憚られるので、ここでは仮に「葉月ちゃん」としよう。

葉月ちゃんは、お目目がクリクリで鼻筋が通り、口元はキュッと締まっていた。実に整った顔立ちだった。きっと、女優などになる人はこういう人なのだろうと子供心に思ったものだ。

中2の時、隣同士の席になった。葉月ちゃんの前の席には、私の当時の親友・秀夫(仮名)もいたので、あの席順はとても楽しかった。

ある日、葉月ちゃんが給食当番になった時、葉月ちゃんの白衣にサバの味噌煮の汁が付着し、サバ臭くなったことがあった。私と秀夫はふざけて、葉月ちゃんのことを「サバさん」と呼んだ。サバさんも普通に笑っていた。

その日から、私は葉月ちゃんのことをサバさんと呼ぶことにした。というより、それまで恥ずかしくて名前を呼ぶことができなかった。だから、意地悪なふりをして「サバさん」という呼び名を得たのだった。

でも当時は1カ月ごとに席替えがあった。だから、席替えで今度は席が遠くなり、会話も減った。あんなに狭い教室なのに、席が離れたとたん、話しかける理由が見つからない。隣同士の席になったのも1回きりだった。

会話が減って寂しかったけど、私は「全然寂しくないです」みたいな顔をしていた。私はそういうところがある。誰も見ていないのに、平気な自分を演じている。自分にウソをついて、いつも後悔する。

そして中3になるとクラスは別になり、さらに話す機会はなくなった。そしてそのまま別の高校に進学した。それで終わり。

14歳のころの思い出。

隣同士の席だったあの1カ月が、今思うと青春だったなと思う。

途絶えた淡い関係が再び息を吹き返したのは、さらに14年の月日を経た28歳くらいのころ。当時、中学の同窓会を計画した人がいてグループLINEができていた。そのグループには当然、サバさんもいた。

だから勝手に友達追加して、個別にメッセージを送った。冷たくあしらわれるかと思ったけど、すごいフレンドリーな返信がきた。それから年に一度くらい、メッセージを交わしている。

年に一度。少しずつ、それまでの人生を教えてもらう。

27歳で結婚したらしい。今は2人の子がいるらしい。最近はSixTONESが好きらしい。

こないだ、サバさんから1年ぶりのLINEが来た。

「中2の時、ばんそうこうくれたよね!?」

覚えていない。けど、そんなことがあったかもしれない。

現在、お互い33歳。

14歳のころの私たちの会話の続きを、年に一度、少しずつ進めていけたら素敵だなと思っている。

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この記事を書いた人

八王子でトイプードルと暮らしています。日常の思い出をつづります。

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