日本という国では、少なくとも建前上は「差別はだめだ」ということになっている。
実際には差別をするけしからんやつもいるし、まだまだ課題はあるのだけど、建前は建前として意味がある。
特に国籍とか肌の色とか出身地とか、変えられないものによって差別することはあってはいけないのだ。
しかし、そんな日本で公然と、平気で温存されている差別があると感じている私なのだ。
それは「一人っ子差別」である。
こういう会話を耳にしたことがあろう。
あ、一人っ子なの?一人っ子っぽいわ~
一人っ子って過保護っぽいし、わがままそう
兄弟いないのさみしくないの?
うざいんじゃカス!アホ!ボケが!
家族構成というものは本人の努力で変えられるものではないし、そもそもセンシティブな話である。
たとえば、さまざまな事情で一人親家庭の人に「あんた片親でしょ」という人はまずいない。センシティブだから。
なのに、一人っ子であるという個人の事情にはズカズカと立ち入ってくるやつが多いのだ。一人っ子差別だけ、誰も自覚なくやるし、誰も咎めない。
上にあげた例はまだ100歩譲って許してやってもいい。強い悪意や実害まではないから。
しかしこういうケースもある。
クソ男
一人っ子だよね。東京で就職するとなったらご家族反対するんじゃないの
一人っ子とだけは結婚しない方がいいよ~
ハァ、これだから一人っ子は…
こういう強めの悪意ないし実害を向けてくるアホが世の中にはいる。本当にいるのだ。
就活の選考はともかく、他人の結婚みたいなものにどういう立場で介入しているのか知らないが、迷惑千万である。
と、こういう話をすると、「今は少子化だから、一人っ子多いでしょ」みたいな反応をする人も多い。
世の中、意外と一人っ子は少ない!!!マイノリティなのだ。
いざ子を持つとなると2人以上持つ人がなんだかんだ多い。
たとえば私が高校の時には、ぴったり40人のクラスで、一人っ子はたったの3人だった。
仲が良かった友人Aは3人兄弟、Oは2人兄弟、Kは3人兄弟、Dも3人兄弟だった。
私の「一人っ子コンプレックス」のような感情は、さかのぼると古い。
幼稚園のころにはもうあった。
なんせ私はこれまでの人生で「うちの妹がさ」とか「これ兄ちゃんにもらった」とか、そういう話をしたことが一度もないのだ!悲しい!
なんというか、兄弟自慢みたいなムーブメントに乗れない。
幼い子どもというのは、2歳上のお兄ちゃんからもらったものを自慢したりする。
ミニ四駆とかポケモンシールとかゲームとかね。
あるいは家庭内で得意げに弟に自慢したりもするんだろう。
知らんけど!知らんけどね。でもそうなんだろう!?ちがうの?
そうだよ絶対。
私だけ兄弟エピソードもなく、「兄ちゃんにもらったおもちゃ」もなく、いつもキョロキョロしていた。
こんな悲しい一人っ子がしまいには「わがまま」だの「協調性がない」だのとののしられ、それが半ば社会において許容されている。
やめてよ!
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