嫌いな言葉「先輩」「後輩」

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昨今、パワーハラスメントが社会問題として認知されてきた。実によいことである。私が社会に出たころは、パワハラという言葉こそ世に知れ渡っていたが、まだまだ対策は行き届いていなかった。

以前も書いたが、私も社会人になったばかりのころ、電話口で上司から「殺すぞ」などと言われた口である。今になって思い返せば腸の一つも煮えくり返る思いになるのだが、当時は頭が真っ白になるほどのパニック状態だった。会社という閉鎖的な環境で攻撃の矛先を向けられた時、強くふるまえる人間はそう多くはあるまい。結局、この会社は24歳の時に入社1年半で辞めた。

ところで、タイトルにも書いたが、私は昔から「先輩」「後輩」という言葉が嫌いだ。中学生のころ、学年が上の人間を「先輩」というのも抵抗があったし、新入生たちを「後輩」というのも苦手だった。ましてや「俺の方が先輩だぞ」などという言葉は、子どもながらに浅ましい響きを感じ、ついぞ一度も言ったことはなかった。

なんなのだ、先輩・後輩とは。学生にしても、会社員にしても、1年早く入ったくらいで偉そうにふるまえる人間の思考がまったく理解できない。

もちろん、学校にも会社にも「キャプテン」「部長」「社長」「次長」といった役職はあるだろう。それら役職に就く者は状況を判断し、指示を出し、責任を取る。そして周囲はそれに従う。しかしそれは役割の違いであって「上下」ではない。

「役職に就いている」「入社したのが早い」-。そんなことで関係性に上位・下位が生じるというのが、この社会に広く蔓延した大きな勘違いである。社長であっても新入社員に丁寧語を使う社会の方がいい。敬意は双方向でなければいけない。

ちなみに今の私の勤務先は、年齢も役職も入社順も関係なく互いに敬語で、「さん」付けだ。素晴らしい風土だと思う。体感にはなるが、パワハラなどが発生しにくい雰囲気が醸成されている。

結局のところ、パワハラというのは「俺の方が上だ」という傲慢さから生まれてくるものだ。小手先のパワハラ対策はやめて、この日本から「先輩・後輩」という概念を捻りつぶしていきたい、いや捻りつぶすべきだと勝手に強い決意を秘めている私なのだった。

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この記事を書いた人

八王子でトイプードルと暮らしています。日常の思い出をつづります。

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