秋の彩りといえば、真っ赤に染まったイロハモミジを思い浮かべる人が多いと思う。
しかし、いざ綺麗に染まったモミジを見つけようと思うと意外に難儀する。
十分に色づかないまま枯れ始めてしまったり、色づきにムラがあったりする。
まあ、人間の物差しなので、イロハモミジさんには申し訳ない言い方になるのだけど。
そんな折、八王子のニュータウンで、意外なモミジの名所を見つけた。
「せせらぎ緑道」。両側には団地や一軒家が並ぶ住宅街だが、こんな風情ある空間が広がっているとは。
去年の冬や今年の春にはよく来たのだけど、秋に来たのは初めてかもしれない。
池から流れてきた水が水路となり、チョロチョロと流れていく音も心地よい。「せせらぎ緑道」の名に恥じぬ道だ。
日ごろのストレスを忘れ、心が洗われるようである。
犬にもモミジの葉を見せてみた。
目で見て楽しむという発想はこやつにはない。かわゆいやつめ。
場所としては、京王堀之内と南大沢の間あたり。線路から南に1キロ弱といったところだろうか。
10月に見た日光の紅葉も素晴らしかったけど、日常を彩るモミジにもまた違った趣がある。
そして、このあたりは無電柱化が進んでいるのか、電線も少なくて開放的な町並みが広がっている。
とても計画的に整備されて、常に人の手が加えられている町といった印象。とても美しい。
ここだけ切り取ったら、まるでヨーロッパの一画のよう。
写っている橋は「長池見附橋」。1913年に四ツ谷に造られた橋を、1993年に八王子へ移築したから、今でも橋には「四谷見附橋」の名が刻まれている。
ネオ・バロック様式のアーチ橋。レンガの装飾は、秋の夕暮れに映える。
100年前の日本は、こんな趣のある橋を造ることができたのかと、見るたびに惚れ惚れする。
それにしても、早いものでついに12月。町を彩る紅葉も見納めだ。殺風景な季節がやってくる。
思わずセンチメンタルな気持ちになる。
思えば子供のころはクリスマスや大晦日、お年玉が控えている楽しみな季節だったけど、今の僕には特に楽しげな予定はない。
殺風景な季節だ。
人のセンチメンタルな気持ちも知らず、年の瀬はやたらと道路工事をしていて、足止めを食らう。
イライラしてハンドルを指で叩く。そして、ふと思う。
大した予定もないのに僕はいつも急いでいる。
なぜだろう。
しばらく考えた。
分からなかった。
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