学校に行くとお腹が痛くなった子供時代

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中学のころ、なぜか学校に行くとお腹が痛くなった。

一言で言うなら、下痢が出そうな痛みに襲われる。

肛門の筋肉を緩めるのが怖い。ヒュっと力を抜いた瞬間に漏れる気がするのである。

公立の中学校でトイレは古くて汚いし、そもそも学校のトイレに行くのが恥ずかしいお年頃である。

トイレに行けないと思うと余計にプレッシャーを感じる。

とはいっても、限界が来たらそんなことは言っていられないので、トイレに駆け込むのだけど。

授業中に腹痛のピークが来た時、ふと時計を見る。

あと15分で休み時間だとすると、念のためあと20分我慢する想定で、プランを立てる。

トイレまで1分はかかるし、授業が長引く可能性もある。長めの見積もりが重要だ。

残り20分を「5分の我慢を4回」などと細分化し、腸へのプレッシャーを和らげるといった試みを行う。

そして、手で腹の表面の皮膚をつねり、「痛みの上書き」を図る。つねられた痛みにより、腸の痛みを鈍らせることを狙った戦術である。

鼻からフンーーーーーと息を吐く。体内の空気を抜き、腸内の水分を蒸発させるイメージだ。

このように、今思えば馬鹿らしい工夫の数々で、なんとか腹痛をやり過ごすのだった。

「腹痛になったらどうしよう」という不安が腹痛を呼ぶ、負のスパイラル。

給食の時間も「これを食べたらお腹痛くなるんじゃないか」と気が気じゃない。

憂鬱な日々だった。

私の場合はそれだけではなかった。

授業中にトイレに行くことを恥ずかしいことと思い込んだ結果、常に「なんかおしっこがしたい気がする」という感覚に襲われるようになった。

周囲の人間からすれば「うんこの1回」も「おしっこの1回」の見分けがつかないであろうという理屈で、おしっこまで我慢するようになり、我慢すればするほど尿意が増したのだ。

休み時間になってトイレに行くと、大して水分も取っていないのに、毎回ちゃんとおしっこが出るから不思議でもあった。

ふとした拍子におしっこが漏れそうな気がして、尿道からおしっこが滴るような錯覚まで覚えるようになった。

授業中はほとんど上の空。

皆が数学やら理科やらに向き合う中、私は肛門をぐっと締め、尿道の感覚におびえていた。

これらの症状は高校、大学進学後も続いた。

上京後は特急列車に乗るのも怖く、わざわざ各駅停車を選ぶことさえあった。

調布から明大前まで各駅停車に乗ってガタゴト揺られていたのだから、今思えば異常であった。

症状を完全に克服したのは成人してからだった。

皮肉にも、大学にも行かなくなり家でボケーとしていた空虚な日々の中で、下痢のことも尿のこともすっかり忘れていた。

そう思えば、無駄に思えたあの4年間にも多少の意味はあった。

最後に、もしこのブログを読んでくれている学生がいたら、一つだけ効果があった方法を教えてあげよう。

家のにおいがするタオル地のハンカチを持っていって学校で嗅ぐと少し症状楽になるよ。

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この記事を書いた人

八王子でトイプードルと暮らしています。日常の思い出をつづります。

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