友人の車の左後部座席に座った。
窓から見える夕焼けを、ぼーっと眺めていた。
本当は運転席と助手席の友人に「夕焼けがきれいだよ」と話しかけたかったのだけど、2人は別の会話で盛り上がっていたからやめた。
空は赤く染まり、田園風景の向こうに分厚い雲が横に伸びていて、その雲の上から山々の頭だけが出ていた。
助手席の友人が「てか、めっちゃ夕焼けきれい」と言ったから、「ね、俺も思った」と言った。
太陽が沈まないうちに、夕焼けのきれいさを共有できて、少しほっとした。
「じゃ、左折しちゃう?」
運転席の友人がハンドルを左に切り、交差点を西に折れた。
夕焼けは、私の左の窓から正面に移った。フロントガラス一面に広がる茜色の空。
私たちは、本来の目的地からグングン遠ざかりながら、夕焼けを追いかけた。
およそ3キロの直線道路。窓を開けたら、吹き込む晩夏の風が涼しくて気持ちよかった。
いつかこの日を振り返る時、思い出すのはきっとこの遠回り。


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