エッセー– category –
-
エッセー
物悲しい日々
秋の夕暮れ時は美しく物悲しい。 この物悲しさを堪能するには、孤独でなければいけない。 一人ぼっちでなければ、暮れていく空を見逃してしまう。 賑わいの中に、感性は育たない。 淡い青にかすかな赤が溶けたやさしい空。浮かぶ木々は影絵のよう。 美しい... -
エッセー
LINE
LINEの「友だちリスト」を定期的に整理している。 今では50人程度しかいない。 中高時代の友人知人、大学時代のバイト仲間、古い職場の同僚。バサリバサリと消していく。 ブロックしてから削除すれば、向こうからの連絡はもう届かない。 少し寂しいが、こ... -
エッセー
ほしいものがない
ほしいものがない。 服も、車も、最新家電も。地位も名誉も、友も、恋人も。何もほしくない。 強いて言えば、ミラーレス一眼カメラが欲しかったけど、その熱も冷めてしまった。 いずれはノートパソコンと机とベッドだけが置かれた部屋で死んでいきたいと思... -
エッセー
未来
未来に価値はなくて、今だけに価値がある。 それなのに、よりよい未来を追い求めて、多くの今を無駄にしてきた。 未来は今の積み重ね。 今をないがしろにして、ある日突然幸せになれるはずがないじゃないの。 -
エッセー
可愛すぎてビンタしたい
可愛すぎる生き物を見ると、ビンタしたくなりませんか? いや、本当にビンタをしたりはしませんよ。 でも、「ビンタしたいくらい可愛い」みたいなことありませんか? 思わず歯ぎしりするような可愛さ。 いじめたくなってしまう。 バッチンバッチン叩きたく... -
エッセー
遠回り
友人の車の左後部座席に座った。 窓から見える夕焼けを、ぼーっと眺めていた。 本当は運転席と助手席の友人に「夕焼けがきれいだよ」と話しかけたかったのだけど、2人は別の会話で盛り上がっていたからやめた。 空は赤く染まり、田園風景の向こうに分厚い... -
エッセー
夕立
悪天候の日が好きです。 特に夕立。 遠くの空が黒く染まって、しばらくすると、それまでの夏の暑さを打ち消す冷気が風に乗ってやってくる。白いレースのカーテンをふわふわと大きく揺らします。 これから激しい雨が降る。この、つかの間の数分、ひんやりと... -
エッセー
15階の風景
10年ほど前、大分県に住んでいた。 縁もゆかりもない街に、転勤でやってきたのである。 県庁からほど近いマンション。15階の部屋を借りた。北向きの部屋は日当たりが悪かったが、眼下に広がる街の向こうに別府湾を見ることができた。 穏やかな瀬戸内海であ... -
エッセー
満たされない人
鴨長明の「方丈記」を読んだ。鎌倉時代の随筆である。 子どものころ、教科書か何かで読んだ記憶があるが、大人になって読むとまた違った感慨がある。 およそ800年の時をへても、長明の文章が人の心を打つのは、なぜだろう。 読み手は、彼の「負け惜しみ」... -
エッセー
しゃがむ
数年前から「しゃがむ」ことにハマっている。 子ども時代の目線を味わえる気がして、なんだか懐かしい。 子どものころ、こういう塀の向こうに何があるのか分からなかった。 飛んでも跳ねても届かないから、答え合わせもできないまま、たくさんの風景を通り...
